看板「犬」とミャンマーのものを扱うので、ミャンマーで犬に追いかけられた話を書こうと思う。

ミャンマーにはそこら中に野良犬がいる。正確に言えば「地域犬」。誰かが、あるいは複数の人たちが犬にごはんをあげている。地域猫の犬版だ。              地域犬は日中は暑さで静かに寝ているが、夜になると群れをなして活動を始める。   ワンワン吠えて走り回ったり、吠えたてられた犬のキャインという声が響く。

みな中型犬サイズで、外国人からするとけっこう恐い。               しかも犬は匂いで外国人ということがわかるので、付いて来たりうなったりする。    私は夜になると、そのへんを歩いてるおばちゃんに声をかけて「犬おっかないから一緒に歩いて」とお願いしていた。

ミャンマー6年目だったろうか、当時はミャンマーの内資総合商社で、日系企業担当として働いていた。かなり大きな会社で、銀行も展開していた。               その大きな会社はグループ傘下にセメント会社を持っており、日本から来たセメント技術者のアテンド兼通訳をしたことがある。

セメント工場はネピドーという首都にある。ヤンゴンから飛行機で1時間くらいの距離だ。                                    ネピドーでは、これまた同じグループ傘下のホテルに宿泊していた。ホテルからセメント工場までは車で1時間ほど。ネピドーは首都だが遠くてだだっ広い。

私は気難しい性格のため、四六時中誰かと一緒にいるのが苦手だ。                アテンドだから、ヤンゴンからネピドー、ネピドーでも夕ご飯まで、ずっとお客さんと一緒で、それが数日間続く。                                        工場での通訳兼お手伝いみたいな仕事は好きだが、夜になるとそれとは違う疲労がどっと襲ってきた。

ある時、ストレスを発散しようと、ホテルの敷地内をランニングした。              ホテルはヴィラ形式でバンガローが点在し、けっこう広い。走ると風が頬に当たり、周囲も暗いから、実際の10倍くらい早く走っているような気がしてくる。

そう、私は調子に乗った。風になってる!くらいの気分だった。                                  どこまでも走っていける気がして、ホテルの外周を走ってみることにした。               スーハ―スーハ―                                      自分の呼吸までかっこよく感じられて来たころ、道路の反対側、前方の茂みが動いた。        犬が2頭出てきた。ワンワン吠え立てている。                          道を引き返すこともできず、無視を決め込んで走り抜けると、ワンワン吠えながら追いかけてきた。                                 私は考えた。犬は動くものを追いかける習性がある。止まった方がいいのか?いや止まっても囲まれたら終わりだ。狂犬病の注射してないから噛まれたら病院へ直行。あれ何回も打つんだよな。めんどくさ。痛いのやだな。どうする、どうする…?!?!

たぶん考えていた時間は1秒くらいだったと思う。                        すさまじい速さで自分内会議を行い、「首を噛まれなければOKとし、走り抜けてホテルの敷地に逃げ込む」という決議が出た。  

ぬおおおおおおおおおおおおお

振り返って犬の様子を見る動きさえロスにつながる、ワンワンと爪の音を背中で聞きながら、とにかく走った。                                          前方にホテルの入り口が見えてきて、ラストスパートをした。                  ホテルの敷地に入って初めて後ろを向くと、犬の姿はなかった。助かった。

このことを当時Facebookに書いたら、ヤンゴンにいた上司から「お前ホテルでおとなしくしてろ!」とコメントが来た。30過ぎになって犬に追いかけられて上司に叱られる。しょうもない選手権で入賞できると思う。

セメント工場。だだっ広くて気持ちがいい。

サボっているスタッフ。

真剣にサボっている。

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